天体望遠鏡はいつまでもピカピカのキレイな状態で使いたいもの。しかし手垢やホコリ汚れ、水垢などの汚れは気を付けていてもついてしまいます。キレイにお手入れして元のキレイな状態にしたい!でもどうやってお手入れすればいいか分からない・・・。そんな方に向けてここでは天体望遠鏡の正しいお手入れ方法、清掃方法をご紹介いたします。天体望遠鏡初心者の方から上級者の方まで是非一度ご覧ください。
目次
天体望遠鏡のお手入れ・清掃方法
天体望遠鏡のお手入れ方法の基本としては汚れだけを落とすこととキズをつけないことを注意してください。キレイにするつもりが、逆に磨きすぎてキズをつけてしまったなどが無いように正しいお手入れ方法を実践してください。
また、レンズのお手入れ方法は特によく覚えて置いてください。間違えるとキレイにならないだけではなく、かえって傷が付いてしまい天体の見え方などにも影響が出ますので特に注意ください。
お手入れに用意する物
- ブロアーブラシやエアダスター(短時間使用限定) (ホコリやチリを飛ばします)
- レンズ用ペーパー (レンズ拭き掃除専用)
- 無水アルコール又は無水エタノール (手垢などの油系の汚れ落とし用)
- 綿棒 (細部磨き用)
鏡筒のお手入れ方法
鏡筒本体は組み立て時や移動時に手で触れる頻度が高く、長く使用していると手垢汚れがけっこう目立ます。いつまでも新品のような美しい輝きを保つための清掃方法をご紹介いたします
お手入れのポイント
天体望遠鏡の鏡筒の外層には白や青などの塗装が施されています。この塗装には自動車でも使われている焼付け塗装と言う塗装方法が使われており、塗膜が非常に強固で長い期間安定している特長があります。その為キズや溶剤にも強く長期間美しい状態を保つことが出来ます。塗装自体が強いので、レンズに比べればそこまで神経質に清掃方法を考える必要はありません。
固く絞ったマイクロファイバークロスで拭き上げる
軽い汚れや手垢などは硬く絞ったマイクロファイバーで優しく拭くだけでキレイに落ちます。
落ちにくい汚れには無水アルコールをクリーニングペーパーに付けて部分的に拭きあげてください。
アルコール類は塗装にダメージも与えませんし蒸発も早いので万が一レンズなど周辺パーツに付着しても
問題ありません。
使っちゃダメ!鏡筒の間違った清掃方法
1.石油系溶剤(強力クリーナー)
鏡筒の清掃時に家庭用や車用の強力クリーナーを使う方が稀にいますが、これは絶対にNGです。強力クリーナーの中には石油系溶剤を含んだものが多く、この溶剤は鏡筒の塗装膜を壊します。変色やツヤ引け、最悪は塗装のはがれの原因にもなりますので絶対に使わないように注意しましょう
2.ツヤ出し剤やWAX
拭き上げてピカピカになった鏡筒を見ると、さらにきれいにしたい気持になりますよね?車用のコーティング材やツヤ出し剤、WAX等を塗っているという方もいますが、これもNGです。
コーティング剤やツヤ出し剤にはシリコーンなどの石油系溶剤が多く含まれています。シリコーンは時間の経過と共に少量ずつ蒸発するのですが、蒸発した油分が鏡筒やレンズの内部に入り込み付着します。するとレンズ裏側に白い膜を形成し曇ったような状態になってしまいます。これを取り除くには細部まで分解後に清掃する必要がありますので、費用的にもかなり高額になります。鏡筒のお手入れは拭き上げるまでに留めておくと覚えて置いてください。
レンズのお手入れ方法
レンズの汚れといえばホコリやチリ、誤って手が振れて付いた手垢や皮脂などがあります。レンズは天体望遠鏡の性能の肝とも言われる重要な部分です。万が一キズなどを付けてしまうと天体の見え方に大きな影響がでますので
細心の注意を払ってお手入れしましょう
レンズのお手入れのポイント
まずはレンズにどこに、どのような汚れが着いているかをよく観察します。ホコリやチリの付着や手の指紋跡(皮脂)、雨などの水分または水分が乾燥した跡などが主な汚れだと思います。その汚れだけを取り除き、「清掃によってキズをつけない」というコトが重要です。指紋などの油分がレンズに付いた場合にはすぐに取り除く必要があります。付着した油は時間が経つとレンズ表面のコーティングを溶かして滲んだ様な汚れが発生してしまいます。こうなるといくら拭いても磨いても直ることはありません。手が触れた場合にはすぐに対処することも覚えておいてください。
レンズの清掃 手順
レンズ表面に付着しているホコリやチリを市販のブロアーブラシ等を使い吹き飛ばします。ホコリの中には微細な砂や石が入っていますので、そのまま拭いてしまうとレンズに砂を擦りつけることになり、傷を生む原因になります。
パソコン用のスプレー式エアダスターを使う方がいますがこれはオススメできません。スプレー式エアダスターは長時間使い続けたり、缶を斜めにして使用すると中のガスが液体状のまま噴射され対象物を凍らせてしまう場合があります。夏場など温度が高い時にレンズを急速に冷却すると、最悪レンズに歪みやヒビが入る恐れがありますのでご注意ください。要するに、使うにしてもごく短時間の噴射のみに留めて下さい。
レンズを拭くには雑巾や布ではなく、専用のレンズペーパーを使いましょう。目も細かく拭きキズが入るのを極力抑えてくれます。拭き方のポイントは「中心から外へと同心円状に拭き広げていく」。これは中心部にに付いたホコリやチリを外へと押し出していきながらキレイにしていくためです。逆に外側から中心に向かって拭いていくと、外側に付いていたホコリを中心部分に寄せてしまうことになってしまいます。レンズ中心部分の汚れやキズは観測時にとても目立ちます。必ず中心から外へと拭きあげてください。
拭いても落ちない頑固な汚れには?
レンズペーパー(シリコンなどの油分が入っていないもの)や脱脂綿に無水アルコールを軽く浸けて拭きます。無水アルコールの使用料は少量で十分です。あまり多く付け過ぎると、アルコールが乾く際に跡が残りムラになる場合があります。数滴垂らす程度に控えて、軽く拭けばサッとアルコールが消える程度が適量です。拭くときは力を入れずに撫でるようにし、動きは同心円状に中心から外へとクルクルと回しながら拭きます。
マイクロファイバークロスでレンズを拭いてはダメ?
マイクロファイバーは性質上、ホコリや汚れを絡め取り対象物をキレイにしてくれます。その反面クリーニングクロス自体にはどんどんホコリや汚れが絡み着いていきます。汚れたクロスで拭くと、キレイにするつもりが逆にレンズにキズを入れてしまう危険性もあります。また、クリーニングクロスの中には金属をキレイに磨くために研磨剤が含ませている物もあります。それらは一回使っただけでレンズに確実に磨き傷が入りますので絶対に使用しないように注意してください。
内部にカビやホコリが発生したら?
保管方法や湿気などに気をつけていても鏡筒内部やレンズ裏側にカビやホコリが入り込んでしまうこともあります。そうなってしまうと素人が取り除くのは不可能です。内部を分解し、一箇所一箇所清掃を施し、調整を行った後で組み付ける必要があります。こうなった場合にはヘタに対象するよりも天体望遠鏡をプロのメンテナンスに出す方が得策です。清掃や修理などの受付は購入店舗、またはメーカーでも直接受付してくれます。また内容を伝えれば概算でどの程度の費用がかかるのかも教えてもらえます。メーカー以外にも天体望遠鏡のメンテナンスを専門に行うお店もありますので合わせて問い合わせしてみてください。
ビクセン 修理受付
天体望遠鏡のメンテナンス・リペア ヨシカワ光器研究所
まとめ
天体望遠鏡の正しいお手入れ・清掃方法はいかがでしたでしょうか?天体望遠鏡は決して安い品物ではありません。また正しいお手入れをしていれば購入してから10年経っても高い性能を維持することも可能です。神経質になりすぎて磨きすぎるのは困り者ですが、長くとも半年に一度は大切な天体望遠鏡を磨いてみてはいかがでしょうか?たとえ古くなってもアナタがまだ見たこと無い満天の星空を届けてくれると思います。
この記事へのコメントはありません。